toru-murasawaの日記

IoT,Startup,Technology etc

IoTプラットフォームの本質とは

前回、日記のつもりで書いた記事がバズってしまい困惑すると同時に嬉しかったりするのだがあくまで日記なので書きたい事を書いていきたい。

さて、「IoTプラットフォーム」であるが完全にバズワードというか大企業もベンチャーも同じ名前で出しているので一体、A社とB社のプラットフォームで何が違うのか?という企業関係者も多いのではないだろうか。

当社も「IoTメッセージブローカ」のPaaSサービスを運営する事業者として、「IoTプラットフォーム」の本質とは何かを考えてみた。

(ここでいう「IoTプラットフォーム」とはハードウェアエコシステムではなくクラウドプラットフォームを指す)

 

1.モノとのメッセージの交換

バイスクラウドを双方向通信させる仕組み一式の提供をする。メッセージとは温度データであったりモータの停止命令であったり様々だ。一般的にはMQTTというプロトコルが使われる事が多い。ここの出来が悪いとデバイスが増えてきた時に接続が切れたり、処理が間に合わないなど完全にIoTというよりは通信インフラの領域である。選定の際にはただ使えるのかだけでなく、安定性や性能的な要素も重要視すべき箇所である。

 

2.モノの認証

あちこちの現場に散在するデバイスに対して認証の仕組みが無いとセキュリティ的に問題である。そのためトークンと言われるユーザ名とパスワードを1つにまとめた認証文字や証明書をデバイスに埋め込んでクラウド接続の際に認証させる仕組みを提供する必要がある。

 

3.モノの管理

どこの現場のデバイスから何のデータが来たか識別するのにはデバイスの個体管理をする必要がある。名札に相当するのがデバイスIDであり、機器固有のMACアドレスだろうが東京工場1フロアAだろうが識別できれば何でも良い。

 

4.モノが生成するデータの蓄積

バイスにぶら下がるセンサなどの末端ノードの情報をクラウド内に貯める仕組みを提供する。センサによって、出力するデータ数とフォーマットが違うのでNoSQLと言われる闇鍋的なデータの突っ込み方が出来るデータベースが使われる事が多い。いちいち、センサの変更や追加で電文仕様を決めているほど現場は暇ではない。

 

5.外部との連携

ここでいう外部システムとは大抵、ユーザが利用するWebアプリの場合が多い。REST APIという標準的な仕組みを用いて、プラットフォームのデータを取り出し必要によって加工の上あとはユーザ要件によってグラフなりデジタル数値として表示する。

 

以上、5つの基本的な役割が「IoTプラットフォーム」の本質部分である。あとはデータに閾値をつけて通知する機能やウェジェットビルダーなるグラフや数値を見栄え良くピコピコさせる機能があるが、この辺りが差別化要素になる事が多い。

 

まとめ

IoT案件を担当する関係者の方は、上記ポイントさえ押さえておけばプラットフォームベンダの思惑と自社で実現したい事のフィット&ギャップが明確になるだろう。

上記に対する質問に答えられないベンダの場合は、プラットフォームを売り切りたいだけの可能性が高いのでポテンシャルを見極める意味でもユーザ自身がやりたい事を整理しておく事は大切である。

 

 

 

なぜIoTは儲からないのか

2017年も終わろうとしているが、「今年はIoTが来る!」と毎年言われて久しい。

3年半、IoTと言われるビジネスに関わった経験で現状のIoTについて考察してみた。

個人的に製造業の顧客が多かったのでかなり主観が入っている。

提供者サイド

  • 既存ビジネスの延長でIoTをやろうとしている

既存のビジネスのフレームワーク内で完結させようとしているため、既存のソリューションや営業メソッドを適用してしまい結果として技術的ミスマッチ、コスト過多、頓珍漢な営業アプローチにより失注といった事態が散発している。

  • 営業に対する負担の増加

IoTは構成要素の異種格闘技戦であり、レイヤ毎にどのようなプレーヤーがいて、どのくらいのコスト感でインテグレーションできるかという感覚が必要である。

SI/NIer上がりの営業であればマルチベンダの商材を扱うのは日常なので比較的スムースな提案につながるのだが、いわゆるカタログ売りしかやってこなかった営業にとって非常に売りづらいものとなっている。

  • エンジニアに対する負担の増加

上記と同様なことがエンジニアにも起こっている。UI/UXのフロントエンドしかやらない、クラウドしかやらない、組み込み以外は俺の仕事じゃないといった押し付けがほうぼうで発生している。いわゆるフルスタックエンジニアという存在は希望してなれるものではなく、個々のエンジニア経験の結果として存在しているような状況なので市場から採用しようにもそもそも採用できないような状況である。

消費者(現場)サイド

  • 製造業の現場に於いて、ラスト1マイルのレガシープロトコルのIP化が進まない。

工場等の現場に行けば20年どころか30年選手の設備が平気で稼働している。これらはシリアルIFなどあればまだマシで、ほとんどは独自仕様またはそもそも外部出力がないという状況である。データを取りたい機器は目の前にあるのにIPプロトコルへのブリッジングが最大のハードルになっている。

  • 既存フィールドバスへのロックイン

Modbus/CANなど既存のフィールドバスへのノウハウが秘伝のタレの如く蓄積・継承されてきているので、IP化の先にあるIoT化というゴールに対してインセンティブが働きにくい。

これは現場にとってみれば当然であり、敷設したシリアル配線のUTP化のコスト、既存ベンダとの付き合いの変化、構内サーバの収集ミドルウェアクラウド化した場合のコスト、画面設計など余程の経済効果や現場負担の軽減が定量提示できていない限り絵に描いた餅で終わるだろう。

 

消費者(経営)サイド

  • IoT化への投資に対しての利益計上が不透明

単に可視化程度のソリューションでは、歩留まりの可視化や予防保全によるライン停止撲滅につながっても投資以上のリターンを生む効果があるかは実際にやってみないと不透明だろう。

オーナー型で積極的な設備投資を好む攻め型の中小企業の経営者であっても、IoT化の投資が各種助成金の対象になるかどうか、コストが妥当なものかも専門家の手を借りないと即決する状況にないだろう。IoTの案件なのに本質的な全体の仕組みや儲けの仕組みを考える以前に補助金の申請書作成に時間が割かれている案件も耳にする。

 

業界サイド

  • 売るものがない

スマホクラウドといったトレンドも一通り定着し、次はIoT、AI、VRといった感じで次なる飯の種を探さなければならない。とりあえずIoTをキーワードに入れておけばいいんじゃね?といったサービスやプロダクトも乱立し提供者自身が既に何を売りたいのかわからなくなっているような所もチラホラである。

 

どうすれば儲かるのか

  • 思考停止した設計書ありきの提案からアジャイルでとりあえず始める提案へ意識改革
  • マルチベンダ対応能力のある営業を増やす
  • フルスタックエンジニアの獲得と養成
  • IoTは投資であるという経営者の認識と覚悟
  • IoTに対する過剰な期待の創出をやめ、真摯に顧客課題の解決に向き合う覚悟

まとめ

かなり綺麗事な問題提起かつ無理筋な結論になってしまった感がある。市場黎明期はいろんなチャレンジと犠牲があって本物の市場形成と成って行くのであろうw

 

スタートアップのyet another 知財戦略

知財って何?

スタートアップが保有する特許や著作権など含めて知的財産と呼びます。

 

それ美味しいの?

美味しくはないですが、零細企業であるスタートアップの貴重な時間と金を投じた結果の成果物である特許や著作権は"無形財産"です。

会社の財産である知財を適切な形で保護し、保有していくのは経営者の責任です。

 

うち特許なんてないよw

特許はなくてもソフトウェア等のデジタルコンテンツが事業の柱になるITスタートアップなら著作権という無形財産を自動的に保有している事になります。

 

著作権なんていつどこから発生するのよw

法人の発意により創作された著作物(デジタルコンテンツ)はその法人に帰属します。(職務著作)

よって、あなたの会社がリリースしたプロダクトは法人著作として法人に権利が発生帰属します。

受託案件の場合はどっちに帰属するの?

ビジネスの原理原則で言えば、金を出した側(発注者)に権利が帰属するのが自然でしょうがこれは契約に依存します。

受託した結果の成果物として全部、または汎用ルーチンなど一部のコンポーネントのみ権利を帰属させるかは契約次第です。

で、どうすればいいの?

受託契約にしろOEM提供するにしろ、著作権の帰属元とその範囲は契約書として案件着手前にしっかり締結しておきましょう。
もちろん、自社製品の場合は100%自社に権利が帰属しますが第三者が利用する場合は適切なライセンス契約を締結し範囲(独占・非独占)と対価をしっかり確定させるのも経営者の責務です。

 

 

 

スタートアップのやり方

資本金について

100円起業も可能だがバランスシート上はあっという間に債務超過になるのでやめておこう。

最低でも100万はあると良い。

 

固定電話番号は公開しない

ホームページ等に固定電話番号を記載するのはやめよう。

新設法人リストに載っている電話番号に電話やコピー機の営業をしてくるスパムより迷惑な不届き者がいる。スタートアップ初期はプロダクト作ったり役所関連に行く機会も多いので顧客対応以外のインタラプトは排除すべきである。

 

合同会社か株式会社か

どちらも青色申告が使え、決算公告の制度もほぼ同じである。

平たく言うと合同会社持分会社であり100%出資者であり100%オーナーである。

株式会社は株主の信任を受け、会社の代表権を得ているので厳密にはオーナーではない。

他人資本( VCやエンジェルなど)が入る予定または入るのであれば株式会社にしないと株式が発行できないので注意。

青色申告は赤字は数年間繰り越せるが、7万は法人税として最低限払う必要がある。

 

資本政策について(株式会社)

VCから投資を受けるのであれば、株式の希釈化も含めどのくらい株を保有するかを決める。これは不可逆なため一度決めたら変更するのはほぼ不可能であるため慎重に決めよう。

議決権は最低限33.3%あれば自分の首を宣告されても拒否はできる。

66.6%あればほぼ投資家の意向に振り回されない経営ができる(はず)

 

事業計画書

事業計画書はスタートアップにとってあってないようなものだが、どのくらいの市場のどのくらいのパイを取ろうとしているのか、5年(またはファンド運営期間、またはexit想定期)の事業期間でどれだけの売り上げと経費が発生し、どれだけの利益が残り最終的な税引後利益がどれだけ残るかくらいは経営者として定量的な数値として考えておきたい。

 

経営メンバーについて

可能な限り、一人ではやらないほうが良い。経営していくと辛いことが多いので相談できる相手は必ず必要である。一人で事業をやっている時点で第三者から信任を得られていないビジネスであると見る投資家もいる。人間であるから、喧嘩別れした時も考えて互いの株式の持分を決めておく事も大事な事である。 

 

ピボットについて

世に出したサービスが鳴かず飛ばずの場合、テコ入れして継続するか、やめて違う事業をやるかの決定を迫られる事になる。

サービスの将来性、ユーザ数などKPIとなるファクターは多数あるがスタートアップであれば3回程度はピボットしても良いのではと個人的には思う。

これについては置かれている市場、銀行口座のキャッシュバーン予測などケースにより複雑な要素が絡むため最終的にはコア事業から外れないか、メンバーのノウハウがピボットする予定の事業とマッチするか等で意思決定してもらいたい。 

 

最悪を常に考える。

会社がダメになっても人間は死なない。

キャッシュが燃え尽きそうなら清算あるいは休眠で次のチャンスまで水面下に潜るという生き方もある。

一番ダメなのは、投資で得た金とは違い銀行融資など「返す必要のある金」を借りること。

金を借りること自体は事業の成長局面では悪ではない。いずれにしても売り上げを創出する事が経営者に取っては最優先で取り組むべき課題になる。

 

経営理念を作っておく

毎日売り上げをどう立てるか、新規開拓をどうするか、プロダクトの進捗はどうなっているかを考えていると何をやっているかわからなくなってくる時がある。

何のために独立し、何をやりたくてどう顧客に価値を感じてもらえるかという基本的な事をはっきりさせておく事で精神的な拠り所となるだろう。

 

一に実行、二に実行

会社員のノリで机に座っているだけでは日が昇り日が暮れて1日が終わってしまう。

会議をしたところで何も生産的な行為にもならないだろう。

今何をするべきで、何をしないか、やるか、やるないかの積み重ねしかない。

やっただけ結果が出る訳でもないが最終的にやるだけやったと思えるかが大事だろう。

 

リスクをコントロールできるなら勢いで起業するのもあり。

まずは客がいるか、いないなら作る。商材があるか、無いなら作るか仕入れる。エンジニア出身社長は自社製品にこだわりがちだが、買う側からするとだから何?というのもまた現実である。モノが簡単に売れない時代こそ、人がやっていない事、めんどくさがる事に目を向けてみるのもヒントがあるのかもしれない。